2014年11月20日

ドイツ・シャルプラッテンとシューマン≪女の愛と生涯≫

偶然に聴いたアリーン・オジェーの歌う「シューマン:女の愛と生涯」がとても良かった。優しい語りのような・・・なんと素朴で純粋な歌だろうか。技巧によりかかることなく自然で、音楽的魅力が横溢する、品格に満ちた演奏だと思った。“演奏技術でどんな音楽をするのか”という根本的な問題についての明確な回答がここにあるかのよう。

ドイツ・シャルプラッテンとシューマン≪女の愛と生涯≫

プロデューサーの清勝也氏は言う
「ドイツ・シャルプラッテンでいろいろ録音をしている頃に僕が考えていたのは、ドイツ・リートはあまりにも詩の内容を外に出しすぎてきたのではないか、ということでした。≪冬の旅≫にしても、旋律もピアノの伴奏も完璧なくらい綺麗なのに、哲学的でしんねりむっつりした厭世的なところばかりが強調されているよう思っていました。シューベルトもシューマンもヴォルフも、もうちょっと人間が歌う喜びという方へ持っていきたかった。
結局≪冬の旅≫は、フォーゲルが思い入れを入れすぎず、シューベルトの旋律を非常に綺麗に出した演奏をしてくれて良かった。そしてシューマンの≪女の愛と生涯≫、これも凄い名曲なのに演奏となると難しいんですね。そういう意味で、オジェーのこの歌唱は思い入れすぎず、シューマンの綺麗なところを出していていいと思ってるんです。」
「シューマン歌曲集」(KICC9506)ライナーノートより抜粋

録音はまことに個性的で、今のオーディオファンには古臭いと一蹴されてしまうかもしれない。でも、この演奏に沿った的確なものであるという印象だし、むしろこの録音が演奏(CDとしての)の価値を創っているようにも感じられる。

※ドイツ・シャルプラッテン:東西ドイツの時代、東ドイツの国営レコード会社。東ドイツのレコード会社はシャルプラッテンのみであった。
※清勝也氏:徳間ジャパンコミュニケーションズのプロデューサーとしてドイツ・シャルプラッテンの日本版を担当した。


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Posted by シン・ムジカ - 蓑島音楽事務所 at 13:33│Comments(0)演奏家音楽
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