2014年03月06日
コンサートホールのお話
突然ですが、コンサートホールのお話。
2006年施設勤務の時、メールマガジン用に作成した原稿です。今読むと稚拙な内容でお恥ずかしいのですが、面白くて分かりやすい部分もあるので、少し手を入れて掲載します。間違いなどお気づきの点があれば遠慮なくご指摘、ご教示ください。
コンサートホールの形状は、シューボックス型とアリーナ型に大きく分けられます。
■シューボックス型
その名の通り、靴箱型(長方形)をしていて、音響特性に優れている事が特長です。天井が高いため豊かな残響が得られること、横幅が狭いことによって側壁からの初期反射音が客席全体に豊富かつ均一に得られることなどが理由にあるようです。確かに良いシューボックス型のホールで音楽を聴くと、どこに座っても音の差が少ないですね。(アリーナ型だとそうはいかない…)
長方形の短辺の一方にステージが設置されていて、ステージに対してほぼ平行に客席を並べる形が通常で、バルコニー席(舞台の後ろや横)が設けられることもあります。中小規模の音楽ホールに適しているようです。
シューボックス型のホール(例)
すみだトリフォニーホール、東京オペラシティ・コンサートホール、横浜みなとみらいホール(アリーナ折衷型)、紀尾井ホール、京都コンサートホール
ウィーン・ムジークフェラインザール、アムステルダム・コンセルトヘボウ
■アリーナ型(ワインヤード型)
客席が幾つかのブロックに分かれており、その配置、客席内の壁面により、有効な反射音を得て優れた音響特性を創り出すというものです。客席が“段々畑”のように見えることから「ワインヤード(葡萄畑)型」と呼ばれており、形は多角形の場合が多いようです。ステージを客席が取り囲む形で視線距離が短いのですが、見掛けによらず客席数が多く、最大の特長としては演奏者と客席の一体感、臨場感を与えてくれるということでしょう。しかしながら、比較的規模が大きいこともあり、音響的には席によりバラツキが出てしまうことがあるようです。
アリーナ(ワインヤード) 型のホール(例)
サントリーホール、札幌コンサートホール「kitara」、新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあコンサートホール、ミューザ川崎シンフォニーホール、ベルリン・フィルハーモニーホール
感覚的には、シューボックス型は静的・フォーマル・ヒストリカル、アリーナ型は動的・ダイナミック・モダンとも表現できるでしょうか。また、シューボックス型はホール自体が楽器のように感じますし、一方、アリーナ型は楽器の圧力、空気感がホールの空間を創り上げるイメージがあります。
シューボックス型もアリーナ型も舞台後ろに座席を設けたり、オルガンを配置したり様々です。また、この舞台後ろの座席は時折合唱団のステージに使えるという有効な利用方法があります。
もうひとつ…完成したばかりの音楽ホールに行くと、響きが浅く今ひとつだなあ…と思うことがあります。でも10年経って聴きに行ってみると、不思議なことにとても芳醇な響きになっている場合があります。“ワインヤード(葡萄畑)“とはよく言ったものです。
■その他
「扇型」「馬蹄型」と言われるホール形状もあります。
扇型は扇を開いたような平面形状を持ちます。客席からステージへの視覚線が良好なのが特長です。熊本県立劇場コンサートホール、東京芸術劇場コンサートホールなどが該当します。
馬蹄型は伝統的なオペラハウスの形状で、荘厳な雰囲気を持ちます。愛知県芸術劇場大ホール、横須賀芸術劇場、ウィーン国立歌劇場などが挙げられます。
★音楽事務所シン・ムジカのfacebookページ★
クラシックコンサート、CDなどの情報を発信中!
http://www.facebook.com/shinmusica
2006年施設勤務の時、メールマガジン用に作成した原稿です。今読むと稚拙な内容でお恥ずかしいのですが、面白くて分かりやすい部分もあるので、少し手を入れて掲載します。間違いなどお気づきの点があれば遠慮なくご指摘、ご教示ください。
コンサートホールの形状は、シューボックス型とアリーナ型に大きく分けられます。
■シューボックス型
その名の通り、靴箱型(長方形)をしていて、音響特性に優れている事が特長です。天井が高いため豊かな残響が得られること、横幅が狭いことによって側壁からの初期反射音が客席全体に豊富かつ均一に得られることなどが理由にあるようです。確かに良いシューボックス型のホールで音楽を聴くと、どこに座っても音の差が少ないですね。(アリーナ型だとそうはいかない…)
長方形の短辺の一方にステージが設置されていて、ステージに対してほぼ平行に客席を並べる形が通常で、バルコニー席(舞台の後ろや横)が設けられることもあります。中小規模の音楽ホールに適しているようです。
シューボックス型のホール(例)
すみだトリフォニーホール、東京オペラシティ・コンサートホール、横浜みなとみらいホール(アリーナ折衷型)、紀尾井ホール、京都コンサートホール
ウィーン・ムジークフェラインザール、アムステルダム・コンセルトヘボウ
■アリーナ型(ワインヤード型)
客席が幾つかのブロックに分かれており、その配置、客席内の壁面により、有効な反射音を得て優れた音響特性を創り出すというものです。客席が“段々畑”のように見えることから「ワインヤード(葡萄畑)型」と呼ばれており、形は多角形の場合が多いようです。ステージを客席が取り囲む形で視線距離が短いのですが、見掛けによらず客席数が多く、最大の特長としては演奏者と客席の一体感、臨場感を与えてくれるということでしょう。しかしながら、比較的規模が大きいこともあり、音響的には席によりバラツキが出てしまうことがあるようです。
アリーナ(ワインヤード) 型のホール(例)
サントリーホール、札幌コンサートホール「kitara」、新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあコンサートホール、ミューザ川崎シンフォニーホール、ベルリン・フィルハーモニーホール
感覚的には、シューボックス型は静的・フォーマル・ヒストリカル、アリーナ型は動的・ダイナミック・モダンとも表現できるでしょうか。また、シューボックス型はホール自体が楽器のように感じますし、一方、アリーナ型は楽器の圧力、空気感がホールの空間を創り上げるイメージがあります。
シューボックス型もアリーナ型も舞台後ろに座席を設けたり、オルガンを配置したり様々です。また、この舞台後ろの座席は時折合唱団のステージに使えるという有効な利用方法があります。
もうひとつ…完成したばかりの音楽ホールに行くと、響きが浅く今ひとつだなあ…と思うことがあります。でも10年経って聴きに行ってみると、不思議なことにとても芳醇な響きになっている場合があります。“ワインヤード(葡萄畑)“とはよく言ったものです。
■その他
「扇型」「馬蹄型」と言われるホール形状もあります。
扇型は扇を開いたような平面形状を持ちます。客席からステージへの視覚線が良好なのが特長です。熊本県立劇場コンサートホール、東京芸術劇場コンサートホールなどが該当します。
馬蹄型は伝統的なオペラハウスの形状で、荘厳な雰囲気を持ちます。愛知県芸術劇場大ホール、横須賀芸術劇場、ウィーン国立歌劇場などが挙げられます。
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