2014年12月08日

マーク・パドモアとポール・ルイス Mark Padmore & Paul Lewis

シン・ムジカは東京銀座・王子ホールへ。高速道路も都内一般道もスムーズで、歌舞伎座地下駐車場に無事入庫。歌舞伎座の地下を散策してから「元楽」で昼食をとる。

歌舞伎座地下街と『元楽』チャーシュー麺大盛


昼食後、銀座三越を見てから、スターバックス1号店で王子ホールのステマネさんと待ち合わせ。年末のご挨拶と30分ほど情報交換(雑談?)。

銀座『CENTRE THE BAKERY』イギリスパン


開場時間も30分が経過したところでホール受付へ向かう。(王子ホール主催事業は開演1時間前に開場)1階フロアにはバーコーナーが開設されていた。

1Fバーコーナー


プログラムの紙は「王子製紙ニューエイジ菊判62.5kg」さすが製紙会社!こだわっています。落ち着いた雰囲気のマットコート紙で文字も読みやすく、手触りがしっとりしていて“めくり音”も控えめ。



いよいよ開演。パドモアの実演に接するのは2011年トッパンホールでの「水車小屋」以来・・・期待に胸が高まる。
入場の様子は、まるで僧侶と絵描きが現れたよう。虚飾ない、この上なく自然なたたずまい(に見える)である。大体において、演奏家が入場したときにその日の演奏の質がわかるのだが、信頼に足る立ち姿であった。

前半はベートーヴェンの歌曲。「遥かなる恋人に寄す」は私の最も愛する作品のひとつだが、最後の第6曲における第1曲の主題が回帰する部分のすごさ、美しさは筆舌に尽くしがたい。これほどの豊かな溢れんばかりの表現を私は知らない。

20分の休憩後、後半はシューベルト最後の歌曲集「白鳥の歌」。楽譜掲載順に演奏された。その表情、目線、動きの全てが、作品に繋がり意味を成している。すばらしい美声を殊更に強調することもない。歌唱技術は完全に手段と化し、もはや、良い声を出そうとか、発声を気にするような志向は感じられない。作品の持つ物語を、音と詩によって聴衆にどう伝えるか、いや、彼にとっては詩(テキスト)がすべてであるという意思も見えてくる。音楽と演劇のさらに向こう側の世界だと感じた。

培ってきた歌唱技術を活用し、どんな音楽(表現)をするのか。彼の目指してきた(いる)場所が今回のリサイタルでは明示されていたといえる。この機会に接することができたのは私にとって大きな出来事であった。
演奏における感情の抑制と発露、これらの適切な表現はめったにお目にかかれないが、今回は見事であったと思う。彼らの知的な計画(?)が見事に適合したというべきだろう。

余談だが、今回の演奏に接すると、シューベルトの歌曲はバスが適しているとか、本来はテノールの作品だとか、もうどうでもいいと思えてくる。

今回もアンコールは無し、それも良いと思う。

サイン会の様子


マーク・パドモア(テノール)&ポール・ルイス(ピアノ)
~シューベルト三大歌曲集全曲演奏会~

<第3日>白鳥の歌

12月7日(日)15:00開演 ※14:00開場
銀座・王子ホール

ベートーヴェン:
「8つの歌」より 五月の歌 Op.52-4
「6つの歌」より 新しき愛、新しき生命 Op.75-2
星空の下での夕べの歌 WoO150
連作歌曲 「遥かなる恋人に寄す」 Op.98
丘の上に私は座って/山々の青いところ/空高く軽やかに舞う鳥
空高くゆく雲/5月がめぐってきて/お別れにこの歌を

シューベルト:
歌曲集「白鳥の歌」 D957
愛の便り/戦士の予感/春のあこがれ/セレナード/すみか/遠い国で/別れ
アトラス/彼女の肖像/漁師の娘/都会/海辺にて/影法師/鳩の使い

  

Posted by シン・ムジカ - 蓑島音楽事務所 at 14:42Comments(0)イベント情報音楽